モントゴメリー頂点へ!!9秒78の世界新記録樹立

奇妙な世界記録誕生だった。ゴール一瞬、モントゴメリーは観客席を見て浮かぬ表情。勝っても派手なジェスチャーはなし。

15m過ぎて掲示板に眼をやるが、なぜか反応が鈍かった。世界新記録樹立した本人より、いち早く確認したコーチが飛び出してモントゴメリーを追う。ぼくもカメラを掴んで追った!コーチがモントゴメリーを抱え上げた瞬間シャッターを押した。

パリは珍しく「インディンサマー」の、真っ青な秋晴れ。絶好な陸上競技日和に、GPファイナルが開催された。

ゴールデンリーグのジャックポット、賞金50kgの金塊(50万ドル相当)は、イチャム・エルグルージュ(1500m)、フェリックス・サンチス(400mh)、マリオン・ジョーンズ(100m)ら、今季7GLなど全勝3選手に9月6日、ベルリンGLで決定している。

この時期、選手が一様に「長いシーズン」を口にするほど、体力、精神的な限界にきている。心はすでに半ばヴァカンス状態。どの種目も記録はほとんど期待されていなかった。


モントゴメリー、チャンバーズ、コリンス

ただ、この日28才の誕生日を迎えるエルグルージュ、サンチスの2人の今季総合得点争いが焦点だった。

サンチスも400mhで優勝したが、その1時間半後の400mレースでは明らかに疲労して5位と振るわず。エルグルージュが独走3分29秒27で優勝、ほぼ総合優勝確定されていた。

マリオン・ジョーンズが100m10秒88で優勝。その15分後、男子100mレース。グリーンが故障で欠場、興味が半減した。

ところが、誰も予期しなかったティム・モントゴリー(28才)が絶妙なスタート(0.104)を切り、追い風2mに乗って9秒78の世界新記録樹立! シャイで控えめなティムが大声でコーチに向かって「I told you! 」「I told you!」と、喜び叫ぶ!

ウイニングラン後、マリオン・ジョーンズに祝福のキスを受ける。

チェンバーズも9秒87、欧州タイ記録、ほかの二人も9秒台の好記録が飛び出た!!

モントゴメリーは「スタートから総て完璧だった。世界記録は予言してできるものではない。記録は破られるためにあるもの。まだまだ、世界記録は伸びるだろう」と。

ティム・モントゴメリーは世界新記録でGP総合優勝逆転。19才で9秒93を記録した天才型スプリンターも、やっと遅ればせながら「黄金の脚」が全開、瞬時、9秒78で25万ドルを獲得した。

マリオン・ジョーンズと共に喜びの世界男女最速イチバツカップルが在った。

                                                               2002.9.17.return to home 】【 return to index