室伏弘治、ハンマー投げで日本人初の種目別優勝。

アドリアン・アヌシュ(ハンガリー)が、6回投擲まで80.03mでリードしていた。

最終6投目、最後の投擲者の室伏はスピードあるターンで大きく80mラインを越した。「ワーッ!」とひときわ高い歓声が上がった。

サークルをでながら、「どうだい!」と、同僚に大きく両手を開いてみせた。よほど嬉しかったのだろう。ケージから出ながら、掲示板で81.14m逆転優勝を確認「やったぜ!」と右手を上げて飛び上がって喜んだ。

次々に同僚が駆けより、抱き合い室伏の優勝を祝福する。GPファイナル戦で種目別優勝したの日本人初の歴史的快挙だ。

「風邪気味で少し熱もあったんですが、これに勝つことが今季最大の目標でしたから是非勝ちたかった。79m台をコンスタントに投げていたので、スリップ気味のサークルに慣れれば、なんとかなるんじゃあないかと思った。最後の投擲は、うまくターンもグリップできたし、投げた感触も良かった。勝ってよかったですよ!!」手放しで喜ぶ。

7月12日、ローマGPはアスタブコビッチが80.79mで優勝。室伏は1投目に79.90mを記録したが、その後の記録は期待されたほど伸びずに6位に終わる。わずか1m以内に6人がひしめき合う激戦だった。

試合後、室伏は待ち構えていた記者の前にきて開口一番、大きなバックを肩から降ろしながらこちらからの質問する前「あなたじゃあないんですが(ぼくの顔を覗き込んで)、ヘンゲロにも来た日本人カメラマンがぼくの回りをうろちょろして、すっかり気が散りましたよ」と、よほど不本意な記録を悔しかったのか、結果を恥じたのか不満をぶちまけた。

記者のひとりが「カメラマンに次は注意するように言っておきます」と誤った一コマもあった。

そこでこんどはローマGPと比較して、逆に先手を打って「落ち着き自信あるように見受けたが・・・?」と、聞き出した。

一瞬、身体を後ろに引いて「エーッ!」と反応をした。

しかし、勝って精神的なゆとりから自信を持てたのだろう。いままでのように面と向かって目を合わせることを避けない。今年も83.33mをドーハで記録、GPファイナル種目別優勝を率直に喜んでいた。

風邪気味だといいながら、試合後の夕方16日に開催される横浜GP出場のため帰国。続く、マドリッドで開催されるワールドカップ(22日)、実業団(29日)、アジア大会が控えているハードスケジュールだ。

                                        2002.9.17.return to home 】【 return to index 】【 return to athletics-index