ポーラ・ラドクリフ、雨中のサブ30への独走

初日最後種目女子10000m決勝レースで、ポーラ・ラドクリフ(29才、イギリス)はかつてのライヴァル、ソニア・オリサリヴァンを半周以上もブッ契り、クリスチャンセンの持つ3013秒37を大幅に破る欧州新記録30分01秒09、歴代2位の好記録で圧勝した。

女子10000m決勝レースが始まるころ、それまでの霧雨から急激に豪雨に変わった。ラドクリフは雨を無視した。「正直言って、前半の激しい雨は顔に激しく当たりましたが、レースが妨げるようなことは全くありません。後半、小雨になり湿度が高くなったのでちょっと苦しくなった程度ですね」

ロンドン・マラソン後十分な休養を取ったあと、ポーラと夫のガリーはフランスが68年メキシコ五輪高地対策のために建設された練習場、南フランスのピレネー山脈の「フォー・ロムー」で屋外シーズンに向けて4週間の合宿を2度行ったと言う。彼女はここにアパートを購入、通常のトラックシーズンに備えて合宿練習に備えるパターンだ。

今季最初のトラックレースは7月16日、モナコGP3000mでザボート一騎打ち。ザヴォ−が最後の200mで勝負を決め、欧州新記録8分21秒42で優勝。ラドクリフは敗れたものの自己新記録8分22秒40で2位「屋外シーズンの最も重要な大会、英連邦、欧州選手権大会は十分に準備ができた」と自信に溢れていた。

それから2週間後、マンチェスターで開催された大英連邦大会5000m、スタートから例によって首を縦に振りながらエデイス・マサイを無視して独走、あわや世界新記録誕生かと思わせたが、歴代6位14分31秒42の欧州新記録を樹立。「残念ながら世界新記録は次のチャンスに持ち越された」と語る。2位マサイと22秒以上の大差だった。

連戦の疲れも見せず「今日のレースは、優勝を狙うと同時にサブ30分で走りイングリットの持つ欧州記録を更新することが目標でしたが達成は半分だけ。失敗の原因は、前半の入りが14分57秒65で少し早すぎたのが後半にペースが落ちました。

どうしてか判りませんが、6000から8000mでマラソンのことが頭に浮んできて集中力を失いました。(笑い)今季好調の原因は、ロンドン・マラソンをサブ20分で完走、優勝したことがメンタルな自信でしょう。

これまでやってきたことが間違っていない確信、結果を出したことがブレークに繋がったと思います。これで今季の重要なトラックレースは終了、今秋のシカゴ・マラソンに全力を尽くす準備に入る予定です。天候、コンデイションを整え、まず自己記録更新への挑戦をしたいと考えています。

来年は、アテネ五輪でマラソン優勝するために、今年よりさらにスピードをつけるためにトラックに専念する予定です。多分、世界選手権には10000mに出場を考えています」ラドクリフは欧州選手権で続く5000mの二冠を狙ったが,スケジュールの都合で出場辞退。早々に帰国,再びピレネーの山ごもり,シカゴ・マラソンに向けて合宿に入った。

 

2002.8.21.return to home 】【 return to index 】【 return to athletics-index