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【オランダ・サッカー美学】 | |||||
人はなにかと言うと、オランダ・サッカーを革命的な戦略「トタータル・サッカー」の発祥国、「クライフ」らの活躍云々を語るのに落ち着く。時が経てば、人の記憶は薄れ歴史に埋没されて神話化するのが常だ。それを賛辞する言葉で綴れば、大概の人はそんなもので納得するだろう。決して間違ってはいないだろうが核心を突いているものではない。「たかがサッカー!」、それ以上難しいことを問われることもない。 が、「たかが・・・」のことだが、少し角度を変えて見るとおもしろい。98年ワールドカップ準決勝戦前、あのプライドの高いブラジルのペレイラ監督に「明日の試合(対オランダ戦)、ブラジル史上初めて、相手チームにボールを支配されるだろう」と、戦況を予想言わしめた。
オランダのサッカーは、ブラジルを越える「スタイル」だ。個性的な選手、高い能力、技術、チームワークを酷使して、徹底的な攻めの「型」にある。イングランドのように闇雲にゴール前にロング、クロスボールを放り込むよなヤボなことはしない。また、イタリアとは対極な防御的な試合運び、なりふり構わない勝ち方とは大きく違う。戦況を的確に判読、高い技術を酷使して「形」を創造、ゴールを奪う。その「勝ち方」が「サッカーの美学」なのだ。 あの小さな国のオランダが、中世で最も残虐を極めたスペイン宗教裁判から追放されたユダヤ人を快く受け入れた。単に、プロテスタントのオランダが、カソリックの宗教対立だけで救済の手を差し伸べたとは思えない。壁を越えたリヴェラルな思想、寛容の精神が根底に存在するからだ。皮肉にも、その後のスペイン、ポルトガルは国力が大きく衰退、オランダは海運国に成長。日本までの航路を開発「東インド会社」を設立した。
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