【日本代表欧州遠征迫る!セネガル、ナイジェリアに勝てるか?】
一瞬にして、多発テロ攻撃が世界の情勢を暗躍に突き落とした。極限の状況に極めて敏感な欧州で、男女、老若を問わず、総ての人の日常生活にテロは身近なものとして受け止めている。その余震は簡単には消えない。当然のことながら、スポーツイベントにも多大な影響を受けている。アメリカが軍事行動を起こしたとき、日本代表欧州遠征の対セネガル(10月4日、ランス)、ナイジェリア戦(10月7日、サウザンプトン)が予定されているが状況は予断を許さない。また、アメリカの長期軍事行動になれば、次回ワールドカップも吹っ飛んでしまうだろう。

それはともかくとして、緒戦相手のセネガルは、アフリカ大陸内でも目立たない存在だったが、一昨年のアフリカ選手権から、10余年ぶりで才能ある若手層が台頭してきた。アフリカ激戦グループでモロッコ、エジプトらの強豪に競り勝ち、悲願のワールドカップ初出場権を獲得した実績は侮れない。はっきり言って、日本はセネガルの個人技、スピード、コンビネーションに苦戦する。

攻撃に滅法強いのがアフリカチームの特徴だが、しかし、セネガルは予選10試合で16得点、わずか3失点!攻守にバランスが取れている。選手全員フランス1部リーグのプロフェショナル。トップクラブのランス、スダンの主力選手。MFザー、デイアオ、エンデイヤエらが試合を作る。FWのH.カマラの得点能力は、9試合で8得点に裏付ける。20歳のデイオフは将来の逸材。ワールドカップ初出場決定後、セネガル代表初試合。かれらの次回アフリカ選手権、ワールドカップの準備が始まる親善試合でもある。

ワールドカップ初出場を決めているセネガル代表チーム

一方、アフリカを代表する強豪ナイジェリアは、辛うじて最終予選でガーナを下し3連続ワールドカップ出場権を決めた。この一戦をナイジェー河のデルタにある町ポートハーコートで取材した。ナイジェリアの主力は、ウエスト、フィニデイ、オコチャ、オリセ、カノらだが高齢化が気になる。個人選手の魅力があっても、チーム機能は別だ。また、選手と協会不信の対立はアフリカの典型的な持病だが、ナイジェリアは特にそれが根強い。ヴェテランと若手のギャップもある。チーム状況は常に崩壊しかねない。今回の遠征もなんらかの問題を抱えてのことだが、引き分けなら上出来だろう。

さて、日本代表だが、稲本、高原、小野、西沢らの外国クラブ新移籍組み。通常代表選手の外国移籍は2,4年周期で行うもの。かれらは急変した環境で健闘しているものの、精神、肉体的な疲労は相当なもの。つまり、ワールドカップなどの大きな大会前年には控えるのが常識。移籍先で試合出場ができなければ大きなハンデイキャップになる。それでも、日本選手の場合Jリーグでプレーするよりましなのかもしれない。その影響が代表プレーにどのように出るのだろうか。

稲本が日本人選手として始めてチャンピオンリーグ戦に出場した。残り10数分、TVに写る稲本の顔は極度の緊張感。かれの動きは、あたかも五体満足に作動しない。あのような経験を踏まえて、選手は成長してゆく。ベンゲル監督は、2−1でリードしている残り10数分。大事な状況でペレスから稲本交代を告げた。ベンゲルは知将といわれるが勝利を呼ぶ監督ではない。ぎりぎりの状況で若手起用策、チャンスを与えることによって選手を強く育てる。それは厳しい試練だが、監督が選手に託す夢、選手の希望を適える瞬間でもある。そこにベンゲル若手育成の秘訣があるが、勝利監督になれない所以もあろう。なぜならば、あまりにもリスクが付きまとうからだ。
2001.9.23.return to home 】【 return to indexreturn to football-index