今期、中田英寿が鳴り物入りでパルマに移籍した。8月22日、そのパルマが一昨年前までフランス2部のクラブ、リールに敗戦。パルマ念願のチャンピオンズ・リーグ初参戦を拒まれ開幕前から大きく躓いた。パルマは万年リーグ優勝候補だが、スクデトには縁がない上位止まりのクラブ。ウリヴィエリ監督は、今期劇的な改革に着手した。ブフォン(GK史上最高金額の約66億円)、主将のチュラム(約60億円)、両サイドのコンセイソン、フゼールらの主力選手を気前良く放出。代わりに、ASローマの控え選手だった中田にぞっこん惚れ込んで獲得、“中田チーム”を築いてきた。が、それがまったく機能しない。オヤッ!?と思うのは、パルマの先発メンバーだ。どう見ても過去数年の先発メンバーと比較すると、これといった選手が見えず力は数段落ちる。 今期モナコから移籍してきたジェトー、ヴェテラン、センシーニ、カンナヴァレロ(かれも移籍先を探した)の3バック。かれらのプレーはさすがに固い。しかし、DF前のポジションの選手、病み上がりのボゴシアン、足の遅いアルメイダの2枚ハーフ。パルマの中盤には、かつて、ここにはゾーラ、ヴェロンがいた。ミクー、ラムーチもスタメンに入らず。ウリビエル監督苦肉の、最近では珍しい中田は孤独の2トップ下のポジション。負担が極度に掛かる。あのジダンでさえ、フランス代表の右にはペレスがいる。フランス代表のミクーが監督構想に外れ、このまま控えでは代表試合には呼ばれないだろう。怒って移籍先を物色中。当然、中田の運動量は大きくなる。左右斜めに振り子のようにスペースを求めて走るが、チームメートの信頼感がなくボールがパスされない。たまに中田にボールが渡っても、リールのダミコ(アルゼンチン人)にぴたりと寄せられ前を向けず完璧に封じられた。バックアップもなく孤立するシーンがしばし起きる。むやみに横走りするだけ。左右のウイングは上がるのを止められているのか、積極的に攻撃参加はしない。中田が前を向けず潰される。当然前にボールが出ない。デイヴァイオ、ミロシェヴィッチ、FWの攻撃力が優れているとは思えない。とてもスクデトを狙えるような役者が存在しない。 |
チャンピオンズリーグ出場ならなかった中田
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気になるのは、パルマの親会社の消極的なチームへの投資だ。ここ10年間、パルマは莫大な投資と情熱を掛けてセリエBからAに昇格。短期間でスクデトを狙える上位常連チームに築いてきた。しかし、今期はレギュラー選手5人を放出したが、それを埋める補給がない。FWが弱点なのを百も承知で投資がない。勘ぐれば、クラブ経営の情熱が薄くなったのだろうか?このままでは今シーズン10以下に落ちても不思議ではない。
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