【だれもかれも屁ピリ腰、束になってトルシエに振り回される】

日本はチョンマゲ時代から、なにも深いところでは変わっていない。5月13日、中国・瀋陽で起きた日本領事館内亡命者連行事件が起きた。副領事が北京の日本大使館公使に携帯電話でいちいち連絡しなければ動けない。外務大臣をはじめ、外務省ら木っ端役人が一束になって、お呼び腰で歯切れが悪いことこの上ない。スパッ!とやれないものか。

  なんでこうまでにして外国人に弱いのだろうか不思議でならない。サッカー日本代表フィリップ・トルシエ監督は、5月17日に予定されているワールドカップ代表メンバー発表会見への出席を急遽キャンセルした。10日に監督が会見欠席を要望し、12日に岡野協会会長が了承したという。たった一人の男に日本中が掻き回されている。

日本中が注目する選手発表会見を、選手選考した本人がすっぽかす前代未聞の珍事だ。表向きは「18日のフランス対ベルギー戦視察のため」らしいが、そもそも「代表発表の重圧からの逃避」が本音だろう。トルシエのわがまま放題を許す雇い主(日本サッカー協会)もだらしないが、雇い主が年棒1億円を支払う男(トルシエ)の顔色を伺い、おべっかいを使う国がどこにあるか。

トルシエは、オスローで160人あまりの日本人ジャーナリストを前にして、「なぜ代表発表記者会見出席をキャンセルするのか」と聞かれて、「前回のイタリア、フランスも代表発表会見では監督不在だった」と言って記者の問いを一蹴したらしい。そんなことトルシエが知るはずもないだろう。見たようなことを平然として言う。かれはそのころ南アでワールドカップ準備中の多忙だったはず。トルシエ流のハッタリ、口からの出任せを噛まされて煙に巻いて終わったらしい。

日本のメデイア、TV、新聞、雑誌さらにサッカーファンを含めた人達が、「雁首」を並べて軽々あしらわれている。トルシエは、これまでの例として、影でペチャクチャやるだろうが正面から反発するものは誰もいないことを、心憎いまで的確に読んでいる行動だ。「骨なし」メデイアが、小馬鹿にされるほうにも少なからず責任がある。

サッカー・ジャ−ナリストと称する人達も静観しているのが不思議だ。何十年とサッカー界を熟知している大住、後藤らが、好んで重箱の隅を突付くような作戦、フォーメーション、技術論の討論をさて置いて、毅然かつクールに対応すべきだろう。ワールドカップが終わってから、トルシエ批判を書いても無意味なのだ。

2002.5.15.return to home 】【 return to indexreturn to football-index