この夜、8万の大観衆で埋まったスタッド・ド・フランスは、アルジェリア一色に染まった。アリジェリアがフランスと独立戦争終了40年後、初めて両国の歴史的なサッカー試合が行われた。歴史的な因縁を持つ両国のため、警備はワールドカップ決勝より遥かに厳重を極めた。アルジェリア国歌に続き、ラ・マルセイイェーイズ演奏に大ブーイングで答えた観衆。かれらはフランスで生まれ、フランス国籍だ。
圧倒的な世界チャンピオンの実力の前に、アルジェリアは成す術がない。試合は12分を残し、フランスが4−1でリード。突如、一人の野球帽を被った女性のアルジェリア人が、国旗をかざしてピッチに侵入。捕まえにセキュリテイ、警官が追う。ドット観衆が沸く。それを合図かのように、四方から一挙にアルジェリア人と黒人の若者多数がなだれ込みピッチを占領。プレーは中断、選手は危険を感じ控え室に駆け込みそのまま試合は中止された。 |

女性がピッチを横切ったのが発端
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チュラム選手は「ラ・マルセイイェーズ演奏の時のブーイングは、耳を疑った。お互いの顔を見合わせて、一体なにが起こったのか判らなかった。アルジェリア国家にはブーイングが起こらなかった。なぜ、これらの若者はアルジェリアの国歌に尊敬を払い、自分の生まれたフランス、国歌に不遜な態度が起きたのだろうか。全く信じられないね。これらの若者は、悲しいことになんにも分かてはいない。歴史的な一戦をひとり握りのファンが打ち壊した」 |
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セキュリティ、私服警官が侵入者を逮捕する
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「フランス、アルジェリアの両国が歩み寄り、今まで以上に密接な関係を築く第一歩を歩みだしたばかり。それなのに一部の心ないファンの行為は絶対に許されない。今後、アルジェリアと黒人は努力して、一部の若者らのばかげた行為から、名誉回復のために全力を尽くさなければならない」
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アルジェリアのマジェール監督は、「アルジェリア選手は、このような形で試合の結末は悲しく、非常に残念だった」と語った。しかし、アルジェリア人の両親を持ちフランス育ちのジダンは、かれらの紛れもないシンボル、英雄だ。素晴らしいプレーを披露して満場を唸らせたが、これらの若者の行為に一言のコメントも残していないのは残念だ。
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