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【2レース連続サブ20分、自分を誇れます】 | ||
キャサリーン・デレバ(30歳、ケニヤ)は、レースに必ず一人娘ジェーンと夫のアンソニー、エージェントのリザ・バスター夫婦が必ず同行するのが慣行だ。 デレバは日常の練習はナイロビ郊外の自宅か夫の出身地ニャフルルで行うが、大きなレース前数ヶ月の合宿はNY郊外を拠点とする。しかし、今年は例年にない厳しいアメリカ東部の冬を避けて、国内練習で十分に消化してきたと言う。 3月の半ばから世界中で物議を沸かせた、女子選手に「男性ペースメーカー」を付けるアイデアに、デレバは出場選手ただ一人大反対した。 「主催者側のアイデアを聞かされたのはレース数週間前だった。かなり一方的なもので、最終的に多勢に押し切られた形になってしまったが、わたしは納得できません。楽しいはずのレース出場に気持ちが重かった。ロンドンは女性単独レースのはずだったのに、男子ペースメーカーが、例え数人でもつけば、レースそのものの本質は全く違ってきます」 レース前のデレバの表情が、心なしいまひとつ沈んでいたように見受けた。 勝敗を無視したかのようにデレバはスタートからマイペースだった。 デレバはレースをこう語る。「私はどのレースに誰が出場しても、常に自分のレースで完走することを心掛けます。レースは良かったですね。前半はいまひとつリズムに乗れなかったのですが、後半、いつもの走りができて2位になって満足しています。これで3レース連続2位(注:02年ボストン、2時間21分12秒、02年シカゴ、2時間19分26秒)ですが、今日は相手が強すぎて勝負になりませんでした。2レース連続サブ20分、これって簡単なことじゃあ〜ありませんよ。自分を誉めてやりたいと思います」 ポストレースインタビューのひな壇の上位3選手、1位ラドクリフ隣に3位ドロシン右の隅のデレバは、他の選手とは対照的に終始無表情で目が虚ろだった。やはりラドクリフの世界最高記録は、歴代2位の記録保持者のプライドを完璧に無視した圧倒的な強さ、衝撃的な結果に打ちのめされたようだった。 今後の予定を聞くと、「まだ予定は決まっていませんが、世界選手権に出る予定は今のところ五分五分のチャンス。それかシカゴでしょう」と、言葉が少なかった。 ディーナ・ドロシン、自己記録5分短縮してアメリカ新記録樹立
ドロシンのコーチは10数年前、日本の若手マラソン選手がデンヴァ―の山奥、アラモサで合宿したことがある。武富監督が引率、選手の中には森下広一も含まれていたのを覚えている。その時、現地でアドヴァイスに手を差し伸べてくれた人がジョー・ヴィヒルだった。ヴィヒルがドロシンをコーチしてから6年目。コーチは言う。「ディナは3度目のマラソン。まだ習うことはたくさんある。ポテンシャルは高い。サブ20は時間の問題だろう」自己記録を一挙に5分以上短縮、歴代8位の記録のドロシンは、日本勢の新たなライバルだろう 。 |
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(↑講談社・陸上競技社・月刊陸上競技誌2003年6月号掲載)
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