【ギリシャは女子投擲に期待する】

ゲオルギドス・ギオルゴス(ハンマー投げナショナルコーチ、アテネ大学体育教授、自己最高記録'71年68.76m)は、巨体に似合わず柔和な笑顔。

滞在先のホテルでビールを飲みながら、ギリシャ陸上投擲種目について説明を聞く。 「ギリシャの陸上競技界は、暑いので長距離種目は弱く、伝統的にスプリントかフィールド種目に優れた選手を輩出している。国が小さいので、各種目において世界的なレヴェルをキープできないが、各世代に英才教育の成果が見える。

わたしの専門分野、投擲について説明すると、実はね、わたしはムロフシとミュンヘン五輪で一緒だったし、かれの息子コージの活躍を見ているとなんとなく親近感が沸く。

コージのハンマー投げの技術は、多分、わたしが今まで見た選手の中で現世界記録保持者セディックと並び最高だね。見ているだけで楽しく、インテリジェンスで理想的な憧れのフォームだ。

わたしが教えている学生や、アレックサンドロス・パパディミトリオ(30歳、02年欧州選手権権3位、最高記録80.45m)にも、コージの技術を見習うようにいっている。最近聞いた話だが、クレタ島で開催される競技会にコージを招待する動きがあるらしい。かれにぜひ来てもらいたいね。

コージは現在世界最強選手だ。世界選手権で優勝して、勢いをつけてアテネに迫る。しかし、これに失敗すると、精神的に厳しくなるねわたしがコーチしているパパディミトリオはジュニア時代から飛びぬけた才能を発揮したが、バイク事故で一時低迷。

しかし、今年結婚を機に、もうすぐ父親になるためにモチベーションが大きくなったので期待できる。話が大分逸れたが、ギリシャ男子投擲で最も期待されるのは、槍投げのコスタス・ガツイディスだが、昨年91.23mを投げた瞬間、肩を痛めた。現在、大分回復したが大事を取って今年は全シーズン休養するだろう。来年に期待したい

。昨年の欧州選手権の活躍で,女子投擲に期待したい。円盤投げには豊富な選手層がある。

カテリナ・ヴォンゴラ(33歳、65.01m)、アナスタシア・ケレシドウ(31歳、シドニー五輪2位、67.70m)、ステラ・ツイコナ(31歳、シドニー五輪5位、65.13m)らで国内激戦。かなり期待できる。槍投げはミレラ・マンジャニ(26歳、シドニー五輪2位、エドモントン世界選手権、欧州選手権優勝、67.51m)は、肩をいためたが故障から回復したので、世界選手権は優勝できるだろう.

ハンマーのアレクザンドラ・パパゲオロギオ(22歳、66.32m)、砲丸投げにイリニ・ツエゾグロ(24歳、19.10m)らの逸材はまだ経験不足だがいいものを持っている」

心配した肩の故障は完全回復、世界選手権2連勝を狙う

協会ヘッドコーチパパトリスは、ミレァ・マンジャニ(26歳、シドニー五輪槍投げ2位67.51m)を「世界で最も美しい槍投げ選手」と紹介してくれた。

小柄だが、速いスピードのアポロ−チ、誰よりも速いフィニッシュが特徴だ。今年最初の試合がユーロピアンカップ大会。マンジャニの容姿が、ホテルのバーでよく似合った。

イタリア系アルバニヤ生まれの異色。12歳ごろは短距離選手。父親の奨めで槍投げに転向。16歳の時、94年ジュニア世界選手権で52.22mを投げて8位。18歳でアトランタ五輪に出場。

ここで逢ったギリシャのウエイトリフティング選手イェオリョス・ツエリリと結婚、97年ギリシャ国籍を獲得。その後、アリゾナ大学で1年間留学、離婚。

「ユーロピアンカップは、シーズン始めの大会で調子を見る絶好の機会です。今シーズン初めての大会で63.13mを投げれたし、心配した肩の痛みもありません。今年の目標は世界選手権大会2連勝すること!コンスタントに記録を出すキューバのメネンデス、ピセトらの選手がライヴァルになりそう。ギリシャとアルバニヤでは雲泥の差。比較しようもありません。第2の故郷で開催される五輪で、優勝することしか念頭にありません。」

(↑講談社・陸上競技社・月刊陸上競技誌2003年8月号掲載)
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