【谷口浩美、旭化成陸上競技部休部、九州実業団入りか?】

谷口浩美(41歳)が、旭化成陸上部を止めていよいよ本格的に選手育成に専念することになりそうだ。谷口去就についてのコラム「谷口浩美はどこへ行く」を2001年3月31日づけで、このサイトに掲載した。おなじころ、奇しくも谷口は4月1日で休部している。その3週間後、ロンドンマラソン大会で久し振りに谷口と再会した。ここで過去の大会優勝者、瀬古、ワキウリらも一緒に招待されていた。しかし、奥さんとロンドンを訪れた谷口は、心境はいささか穏やかではなかったはず。

谷口に将来のことに突っ込みを入れると「私は宮崎県の教員になリたく、高校時代の恩師から広島さんへ頼んで頂き、2〜3年のうちに採用試験に合格するまでとのことで入社させていただいた。今年41歳。これからの10年間、50歳になるまで自分の指導者としての力量を試したい。2年前、日体大の監督依頼も誘われましたが断りました。いつか、宗さんに次ぎは(監督を)谷口だと直接いわれたことはあります。アトランタからシドニー五輪まで、将来の指導者としての経験、勉強をさせてもらいました。正直に言えば、自分を育ててくれた旭化成の次期監督の順番かなと、少しは密かな期待をしなかったわけではありません。それも今は完全に諦めました。わたくしが外に出る条件は、今までお世話になった会社の全面的な同意が必要です。そもそも会社を出る根本的な理由は、わが社が推進している陸上界を強くする構想に、後藤徳雄、小玉泰介、米重修一、森下広一らが出向という形で各方面に出ている。要するに、会社を出るしかない時期になったということですね。まだ、行く先は決まっていませんが、会社に希望先は九州の実業団と伝えて、総てを一任しています。このまま旭化成陸上部でコーチ役を続けることは、選手達にに申しわけないし、混乱、衝突を避けるため志願して休部したのです」と語った。

ロンドンマラソン歴代優勝者。左から瀬古、谷口、ワキウリ

4月半ば、谷口は旭化成に親しいヴェテラン陸上ジャ−ナリスト小森と逢った。その時、谷口の描く長距離指導概念を気兼ねなく熱く語った。それがそのまま宗兄弟に伝わり、谷口の案は「実業団レベルでは無理」と一蹴されたと言う。谷口は「私の構想論がどのように捕らわれたかはわかりません。現在の宗体制を批判する気は毛頭ありません。指導者として旅立つ時にきたのです」これをは谷口が「出るしかない時期」を見極める適切なチャンスになったと言えようか。旭化成陸上部監督の座は、知る人ぞ知る、伝統の「お家騒動」抜きでは決まらないものが定説だが…。しかし、あれほど宗兄弟が「後継者谷口監督論」をオープンに口にしていたのは一体なんだったのだろう。一度宗兄弟にチャンスがあれば問いただしたい。谷口、森下らは、広島前監督の残したもの。宗兄弟のやり残した仕事、『世界的な選手』は、まだ育てていない。いちどは谷口も旭化成監督の座を夢見ただろうが、もう直ぐ、片道切符「出向」が拝命されるだろう。

2001.5.11.return to home 】【 return to index 】【 return to athletics-index