雨中のパリマラソン、ケニヤ勢で男女上位独占

朝9時、新パリ市長の号砲で、史上最高2.7万人のランナーが凱旋門前のシャンゼリゼ大通からスタート。残念なことに、数分後に霧雨が降り出し、気温がさらに下がる最悪の天気。
男子トップ集団は、数人ケニヤランナーのラビットが正確に15分20秒前後のペースを守る。寒さのためだろう か、20km過ぎるとペースはさらに落ち、記録への興味は完全に絶たれた。この辺までは、福岡、東京マラソン 出場予定が調整不足で、ずれにずれてパリになんとなく纏めてきた武井(SB食品)が先頭についていた。が、23km辺りで突然、20数名の集団から武井が消えた。「天候が良ければ9分前半から、10分前半を目指した。 ところが雨が降り出し、かなり寒った。右のシューズの紐が解けてしまったんです。あれで、少なくとも20秒は遅れた。もったいないですね。」チップを紐に通すとき、二重にするのが安全とか。それを怠ったために紐が解 け、直ぐに「チップの紐のかけ方が原因を予期していたのか驚かなかった」と言う。3月18日、実業団ハーフに参加して右足を痛めた。疲労骨折の可能性があるため、練習を中断しためにスタミナが心配された。スタート直後 から雨が降り出し、眼鏡をかけて走ったのも失敗したらしい。武井とは数年前、フランクフルトマラソンで取材したことがある。あの時も、「自分が何位にいるか判らなかった」と聞いた。優勝者は疲労困憊。武井の少し前をほとんど意識朦朧状態で走っていた。眼鏡を掛けていなかったために、前方のランナーとの距離が掴めなかったらし い。そのミスでミスミス優勝を逃した。なんと間が抜けたような失敗談を聞かされた。マラソンは「性格」に左右されると言われる。性格も素質の重要なマラソンの要素を再確認した。

目標記録を達成せず 低調な記録に終わる


最後の200m直線で勝負が決定する
男子マラソンは、上位3人練習仲間のケニヤ選手が独占。シモン・ビオトット(2000年、ベルリン優勝、2時 間7分42秒)、フレッド・キプロップ(1999年、アムステルダム、2時間6分47秒)、ダヴィッド・キル イ(2000年、リヨン、2時間11分43秒)の3人が、最後の200m直線でスプリントで勝負を分けた。ビオットは最初のマラソンが1998年ローマ、2時間12分14秒(5位)だった。練習仲間、友人のキプロット と一緒のレースで走るのは始めて。昨年のベルリン、ミラノマラソンで優勝、常に平均した結果を出す安定した実 力者。胸一つの差でキルイに競り勝つ。タイムは2時間9分40秒、2位と同記録。3秒遅れで3位のキプロット が入ってきた。
女子も同じくケニヤ勢が1、2位を独占。ゴール直前で昨年のNYマラソンで5位だったフローレンス・バルソシオ(2時間27分00秒)が、最後の100mで競り勝ち2時間27分53秒の1秒差で優勝。2位はルース・クトロ(昨年のヴェニスマラソン優勝、2時間28分18秒)だった。
驚くのは、男子で4位に入賞したモハメッド・エゼール(フランス、40歳)だ。2時間10分32秒は、ヴェテランマラソン(40歳以上)の世界最高記録だ。今までの記録は、ジョン・キャンベル(ニュージランド)が、1990年ボストンマラソンで出した2時間11分04秒。この結果、エドモントン世界選手権出場権を獲得した。
2001.4.10.return to home 】【 return to index 】【 return to athletics-index