【男子400m、ワシントンの独断場か?】

ワシントンが400m優勝候補筆頭だ。

ワシントンなんて知らない人が多いだろうが、ヘヤーバンドをしている筋肉マン。400mのミカエル・ジョンソンの後継者と言われて久しい。

今季無敗、全米選手権は44秒33で優勝。このタイムは01年から世界最高記録だ。

高校時代は走り幅跳び選手。昨年、不振の背景には、かれは直接事件の当事者ではないが、こんなことはアメリカでは良く起きること、姉の殺人事件のため承認者として出廷していたため練習もロクにできなかったらしい。

アメリカのプロスポーツ選手は、恐ろしいのが多い。野球、NFL、NBLらの選手に、週末はスポーツアイドル視されるが、月曜日には殺人、レイプ事件、麻薬、強盗らの事件当事者として出廷しなければならない選手がかなりいる。

話がだいぶ反れたが、ワシントンは2mを越すシュルツ、他のアメリカ、カリブ海諸島のジャマイカ、バハマらを相手に大差で連勝して、実力の違いをまざまざ見せた。

男子800m、南ア、ケニヤ勢の争いか?

シーズン開幕からいきなり1分44秒18を記録、4連勝したブンゲイだが、同じ22歳の南アの新人ムルアージはブンゲイをオスローでアウトキックした。

ムルアージは今季1分43秒25の好記録を樹立。アトランタ五輪南ア黒人選手で陸上最初のメダリスト、800mで2位のセペンゲの後継者だ。この二人がレースに出るとセペングが若いムルアージを引っ張る。

走りはセペンゲ同様に美しくはないが、急成長の選手だけに怖いもの知らず。天性のレース感覚、どこのポジションからも捲くれるスピード、スタミナの持ち主だ。

「Black Dane」キプケターもなんとかやっているが、いかんせんかつての走りはできない。今季2戦目のマドリッドGPでは、ムルアージ、セペングらに軽々捲くられて3位だった。

連勝を狙うブッヒャーとオスローからパリに戻るフライトの中で話した。「ブンゲイ、南ア勢のできはイイね」と感心していたが、4月に右足首を疲労骨折、練習を6週間中断したらしい。世界選手権までには、「サンモリッツ高地練習で調子を整えてくる」と自信の程を見せていた。

優勝候補筆頭はムルアージで、セペング、ブンゲイ、ブッヒャーらが後続一線で並ぶと見た。

男子1500m、エルグルージュと見たいが・・・

世界選手権で1500,5000mの2冠獲得に挑戦する公言したエルグルージュだが、最近ではかなり弱気だ。

オストラヴァGPで11年ぶりの公式5000mに出場。絶対に勝てると自信満々のレースだった。残り80m勝てたと思った瞬間、まさかの伏兵S・チェロノ(専門は3000障害)にかわされ衝撃の屈辱の敗戦を味わった。

エルグルージュは、早いペースで長い距離を持続できる素晴らしい能力の持ち主。競争相手をグングン引き離すが、瞬間的なスプリント勝負になると弱点をさらけ出す。

こんなときのエルグルージュは、"負け惜しみ"の強い嫌な印象を与える。勝っているときは、鼻高々で意気揚揚。負けたときはいろんな言い分けを持ち出しインタビューまで拒否。当り散らす我が侭したい放題するからだ。

まさかの敗戦は、例え5000mであろうがシドニー五輪1500m決勝依頼、常勝の男には耐えられない屈辱の出来事だ。

ローマGLで今季ただ一人のサブ30を出したものの、"ホッ"とした表情の中に、なにかいつもの切れが物足りない。

エルグルージュの12分50秒24は歴代9位だが、今季の5000mは非常に高いレヴェル。この程度ではとてもメダルには手が届かない。弱気になって2冠狙いを変更、5000m出場を取り止めたとか。

ジュニア世界記録保持者のC・チルチル(19歳)らの成長が著しいだけに、今年の世界選手権ではエルグルージュがまだ安心して勝てる(?)だろうが、1年後のアテネでは1500mでもそう簡単に行くまい。

最盛期のエルグルージュを知らない怖いもの知らずのケニヤの若者が、残り200mまでエルグルージュについて行き、スプリント勝負ならシドニー決勝レースの再現、どちらに転ぶのかはわからない。

エルグルージュは最後の五輪に掛けるプレッシャー、オーヴァートレーニングなどで自滅する場合も考えられる。最悪は五輪金メダルを獲得できない悲運の選手として、かれの名を永久に残しかねないだろう。

2003.7.28.return to home 】【 return to index 】【 return to athletics-index