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【世界のマラソン選手製造コーチ、ガブリエラ・ロザの論理】 | ||
一人の世界的マラソン選手を育てるには、素質発掘から始めても並大抵のことではないだろう。昨年6分台で走った選手は、ピントの2時間06分36秒、藤田の2時間06分51秒だけ。最近でこそ6分台も珍しくなくなったが、史上6分以下で走った選手は、5分台ただ一人の男、ハヌーチの2時間05分42秒を含む14名だ。日本選手も世界歴代50傑に4人入っている。しかし、史上ベスト50傑の記録の中に、「私が育てた選手の記録が半分ぐらい」と、豪語する人がいる。白髪、白い髭のイタリア人ガブリエラ・ロザ博士だ。ミラノに近いブレシアという町に本拠を置くRoza
a Associati社の創業者。本業は生理学スペシャリストの医者、1970年からスポーツ医学に関わり、2人の医者の息子マルコ、フレデリコらも一緒。
ロザは近代マラソンを「サイエンス」と言う。ぼくが10年前、プラハに立ち寄った折、かつて「人間機関車」の異名を取った故エミール・ザトペック宅を訪れた。彼の奥さん、52年五輪で槍投げで優勝したダナ・ザトプコーワ。運良く、テニスラケットを抱えて帰宅。2人に暖かなもてなしを受けた。この時ザトペックは「われわれの時代のマラソンはアート、今はサイエンス」とうまく表現した。医者だけにロザは、優秀なジェネテイック(才能)、高地での軍隊的な厳しい規律ある猛練習の成果という。もちろん、ロザはケニヤの貧困社会背景に強いインパクトを与える、名声、賞金らの「アメ」が必要条件なことは言うまでもない。同じような条件で、彼の論理を証明するためだろうか「デイスカヴァリー・アメリカ」が、サンデイエゴのラグーナ山の2000m高地で昨年の夏から始まった。アメリカ選手が6分台で走るときが来るだろうか? |
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