【女子マラソン世界最高記録を出した高橋,小出監督の貧相な想像力】
9月30日,第28回ベルリン・マラソンのスターターは,NYシテイ・マラソンデレクター2代目のアランだった。スタート前に紹介されると,数万のランナー,観衆から一斉に「USA!!」「USA!!」の大コールが巻き起こった。衝撃的な多発テロ攻撃を受けたNYを励ます心温まるシーンだ。高橋,小出監督も耳にはっきり捕らえたはず。それとも「われ関せず」無視できたのだろうか。ぼくの知人ヴィクターは,レースの公式カメラマン。日頃,NY市の消防士も兼ねている。かれの持参した消防士の帽子が人気を呼んだ。

高橋はガードメン,ペースメーカー付きで「予告」どおり世界最高記録,2時間19分46秒で優勝。女子史上初のサブ20分の壁を破った。あの難しいマラソンを予告どおりに完走した「凄さ」は世界にも類がない。従来の記録を1分近くも更新,日本選手がマラソンで世界最高記録を樹立したのは,65年の重松以来の36年ぶり,女子では25年人見絹江が走り幅跳びで世界記録を出して以来,実に76年ぶりの偉業だ。

「賞金の一部をNYのテロ犠牲者へ義勇金に寄付することは考えないですか?」と,レース後の記者会見で賞金の使い道を質問された。高橋,小出監督も,“鳩が豆鉄砲を食らった”ような表情で「考えていません」と短く返答した。あのレース前の「USA!」大コールは,すっかり世界記録の前に吹っ飛んだ!これには後述「オチ」が着く。

伊藤がベルリン・マラソンレース直前,小出にマンモス東京マラソン「東京のド真ん中を走ろう」のアイデアを話した。このアイデアは本来、10数年前にぼくが出したもの。若い友人と新しいレースについて,ロンドン・マラソンを参考に話した。次の日,インターネット“ニッカン・スポーツ”をクリックして驚いた。小出は伊藤の話をそのまま「パクリ」、「小出の話」として掲載されていた。「銀座を走ろう!オレが石原知事に陳情する!」と,大きく吹いていた。小出の神経は,一体どんな構造になっているのだろう。
ベルリンでの高橋尚子と小出監督

高橋―小出コンビは,ベルリン・マラソンから一週間後のシカゴにも2週連続出場しようとしたが、陸連から許可が降りず出場を断念した。言わなきゃ良いのに・・・。高橋―小出は、「出場できたら,シカゴの賞金の一部はNYに寄付する」と、大きなタイミングずれでとって付けたような,誰かに言われたのだろう「義勇金」提供を申し出た。

高橋の世界最高記録も,わずか1週間の命。デベレはペースメーカーなしでシカゴで2時間18分47秒の驚異的な世界最高記録を樹立した。
2001.10.20.return to home 】【 return to index 】【 return to athletics-index