
谷口浩美はどこへ行く?
|
バルセロナ五輪マラソンで転倒、『こけちゃいましたよ』の谷口浩美は、今年41歳になる。風の便りによると、谷口はコーチとして宗兄弟をバックアップ、後輩の面倒を見ているらしい。一見、谷口がやっと希望通
り引退後の道を始めたかのようだ。実は、これがどうも長い間胸に引っかかっている。と言うのも、谷口が最も輝 いた91年東京世界選手権で優勝、バルセロナ五輪優勝を期待されていたころだった。宗兄弟の口から「谷口引退後、我々は監督の座を速やかに開け渡す」と、聞くまでもなく頻繁に聞かされた。宗兄弟の屈託ない快活な性格を快く思った。これを聞いたのはぼくだけではない。谷口が一線から身を引いたのは、アトランタ五輪後だ。今年で5年目になる。そろそろ旭化成谷口新監督就任が、実行されても良いころだと
期待しているが、どうやらその気配は一向に起こりそうもない。もし、谷口が若手育成に興味がないなら、話しは全く別なこと。しかし、聞くところによると、谷口は選手育成に意欲満々。ある時期、谷口がある大学監督就任の話も風の便りに聞いた。しかし、現在の谷口は、旭化成を出るにも出れない状況にあるらしい。宗兄弟が旭化成
監督の「居心地と実入り」に執着している。谷口が待てど約束の監督の座が回ってこない。谷口、森下が最強のこ ろ、宗兄弟はなにかと陸連の方針に真っ向から反旗をことごとく翻していた。中央に反骨を示すのは、九州男児の本懐であろう。幕府に反旗を翻していた薩摩藩のようなもの。早稲田卒で固めた陸連幹部は、言うことをきかない
宗兄弟は『ウイ』しくはない。かれら現役のころのライヴァル瀬古、エリートへの対立感情もミエミエ だった。日本期待のマラソンエースの存在をバックに、宗兄弟は我が道を行く態度だった。ところが、バルセロナ五輪後急激に落ち込んだ日本男子マラソン梃入れに、宗茂が陸連長距離強化本部長に就任した。今度は陸連べったりの態度に豹変するテイラク、ずうずうしく仕切り始めた。
|
最近ではむしろ、企業イメージのダメージを恐れて、谷口放出を渋り『飼い殺し』をしているようにしか思えない。旭化成陸上部監督交代劇は、広島日出国前監督から宗兄弟に変わる時もひと悶着「監督の座」闘争が
起きている。いわばお家騒動。当然なことに、利害関係が生じている。人気ある宗兄弟が会社に残り、広島は自ら発掘、手塩に掛けて育てた選手に会社を追い出された。ここでも宗兄弟の抜け目ないスパートのタイミングの巧
さ、政治手腕が発揮されている。どこでも、企業スポーツの宿命、現役引退後のスター選手の去就が問題になる。 現役を終えたスター選手の待遇は、当然、一般社員並になるだろうし、その会社では頭がつかえ後輩指導の道も限界がある。大物選手が多い旭化成は、小玉泰介、米重修一、森下広一らを出向という形で後輩指導の場を社外に見
つけた。が、事実上、退社であり旭化成に戻ることは生涯ありえない。スポーツの世界が純粋なんてこれっぽっちもナイーヴに思わないが、時と場合に使い分ける「二枚舌」は勘弁して欲しい。
|